海外旅行先でのデータ通信手段を確保する方法はいくつかありますが、SIMカードの出し入れが怖すぎる私。利用したことがあるのは「レンタルWi-Fiルーター」と「携帯電話会社の海外パケット定額サービス」の2種類だけでした。
2019年10月に初めてeSIMを使ってみての感想は……
通信手段確保が不要な旅専門でした
そもそも行き先は南の島。滞在中はダイビングなどのアクティビティを楽しむほかはリゾートでまったり寛ぐだけ。そんなスタイルの旅が多かった我が家。
通信手段の確保について考える必要性に迫られる機会が少なめでした。
滞在リゾートにフリーWi-Fiもありますからね。
ですが、子どもが生まれてからは出歩いたりもするスタイルの旅もちょこちょこするようになってきて、海外での通信手段確保について考え始めなくてはならないことに……。
みるみるうちに性能を上げていくスマホ各モデル。
今や旅先では、スマホさえあればカメラは要らないといっても過言ではなく、もっといえば地図もガイドブックも不要かもしれませんよね。
だからこそ、通信環境を整えておく必要性はいよいよ高くなってきているわけで、私も真剣に検討せざるを得ません。
SIMカード拒否反応の2つの理由
海外SIMカードは、間違いなく、海外でもスマホを使うための手段の有力候補です。
SIMカードを一時的に現地通信会社対応のものに差し替えるだけですので、案外と重いレンタルWi-Fiルーターを持ち歩かなくて済みますし、他手段に比べて低コストで済む場合がほとんどですしね。
でも、私は海外SIMを利用したことがありませんでした。
その理由は2つあります。
【理由1】挿し替え時に落としたり失くしたりしそうで怖い
【理由2】壊しそうだからスロットはできるだけ開閉したくない
要するに「私みたいなガサツな人間に、あんな小さな精密機器は扱えない」という思いが強かったわけです。
SIMカードをどこかに落としてしまったりとか、
抜いておいたSIMカードを旅先で紛失とか……
もう不安だらけ!(>_<;)
ちなみに、SIMカードの上にさらに貼り付けるタイプのSIMカードもありますが、小さなチップ2枚をピタリと位置決めして貼り合わせるだなんてなおのこと無理……!
その点、SIMカードが2枚入る仕様のスマホなら、通常のSIMカードと海外渡航時用のSIMカードを2枚とも入れっぱなしにしておけます。
つまり、何度もチャージして使えるタイプのSIMカードを、勇気をもってたった一度だけ挿入すれば済むので、あるいは挑戦してみてもよいのではと考えていました。
ただ、私のスマホ(iPhone7Plus)はデュアルSIMではなかった……!
あちゃ〜(>_<;)
……のですが、デュアルSIM仕様のiPhone11Proに買い替えたのを機に、その考えを実行に移すことにしました。
ちょうど予定していたインドネシアへの旅行が4泊6日で、携帯電話会社の提供する割高な海外パケット定額サービスを利用するには期間的に長過ぎたため、海外SIMデビューにはもってこいでした。
eSIMは目に見えないSIMカード
しかし、ここでいきなり「iPhoneについてよく知らないSIMカード初心者」ならではの勘違いが発覚!
iPhoneの場合、デュアルSIMといってもSIMカードが2枚入れられるわけではなく、1枚はSIMカード、もう1枚はeSIM(embedded SIM)というデジタル版SIMカード(=実物がない)という仕様だったのです。
eSIM??? なんだそりゃ?
ハードのSIMカードが2枚入る仕様になっているので、
こだわる人は香港iPhoneを購入したりするようですが……。
よくよく調べてみると、eSIMとは平たくいうと「抜き挿し不要、すべて画面上の操作で事足りるデジタルSIMカード」ということらしい。
……抜き挿し不要ですと!?
むしろこれこそ私の求めていたものではないか!?と気づき、俄然やる気になりました!
とはいえ、eSIMはまだ比較的新しい技術で、扱っている会社も限られています。
(※あくまでも2019年10月当時の話。将来的にはすべてのSIMカードがeSIM化するのではと個人的には予想しています)
まあ、それって逆にいうと、選択肢が少ないから選ぶ際にたいして苦労しないということですけどね。
FLEXIROAMを選んだ理由
少ない選択肢の中から、私はFLEXIROAM(フレキシローム)というところのeSIMを選びました。
決め手は、
FLEXIROAMのオフィシャルパートナーである日本法人によるサービス提供LINE・チャット・メールなど複数チャンネルでのきめ細やかなサポート体制(日本語対応)- 世界150カ国以上対応
【2023.5修正&追記】2023年2月いっぱいで日本国内販売店が撤退(涙)
ですが、同店の旧公式サイト内の「よくある質問」「トラブルシューティング」などのページは2023年5月時点では引き続き閲覧可能ですのでご参考になるかと思います。
ただ、もしもこれが1度限りで使い捨るタイプのよくあるプリペイドSIMカードだったら、サポート云々よりもお値段の安さを最優先したように思います。
また、今回の私の場合だとインドネシア国内の通信会社に対応しさえしていればよかったので、何カ国に対応しているかといったことは問題にならなかったはず。
「何らかの不具合に直感的に対応できそうにもないデジタルカード」であることは不安要素。
それでも「一度スマホに取り込んだらその後繰り返し使い続ける前提のサービス」であるという魅力が決め手となりました。
そんなこんなで、決めたら早速ポチッ!
家にいながら何でも手配できちゃう。
本当に便利な世の中になったものです……!
オフィシャルパートナーから直接買うこともできるみたいです↓
(しかもセール価格になってる!←本記事執筆時点でですが)
【eSIM】FLEXIROAM 100MBデータ付き!
【2023.5修正&追記】私はAmazonでe-SIMのスターターパックを購入しましたが、現在はAmazonでの販売はないようです。また、前述のように日本国内販売店も現在はありません。
新規利用方法については次章をご参照ください。
まずは封書が送られてくる →まずはアプリをインストール
【2023.5修正&追記】Amazonや日本販売店サイトでのスターターパックの購入はできなくなっている現在、新規にFLEXIROAMを利用される方は、まずアプリをインストールして、同アプリ内でデータプランを購入時に無料でついてくるe-SIMをインストールすることになるとのことです。
データプラン購入時にe-SIMが付帯してくる旨がヘルプセンターに記載されています。(下図参照)
<iPhoneへのeSIMインストール方法のチュートリアル>
(※従来型SIMカードも購入可能なようですが、日本への送料US$9.9がかかってくるので、eSIMでなければ選択肢になりづらいかなと思います。お手持ちのスマホがeSIMに対応しているかどうかは公式サイトのこちらのページの中ほどにある"Find out if my device support eSIM"というリンクをクリックすると表示される一覧で確認可能です)
なお、提携カード会社によるキャンペーンなどにより無料でスターターパックとグローバルデータプランを手に入れられる場合もあるようです。
デジタルということであれば一切の手続きがスマホ画面上で済むのかと思いきや、最初は封書が送られてきます。
といっても、封筒の中身は、初期設定に必要なQRコード&バーコードが記載された名刺大のカードと、補助的な説明プリントだけ。
(基本的な設定方法はオンラインガイドで説明されているので、同封されているプリントはカード記載のQRコードが読み取れなかった場合の予備QRコードやFQA的な内容が書かれたものであって、あくまで補足といった感じ)
要するにQRコードとバーコード(≒シリアルナンバー)さえあればなんとかなるわけですから、敢えて封書で送る必要あるのか疑問ですが、特殊詐欺防止の観点からの本人確認の代わりでしょうか?
でもまあ、そう遠くはない将来、オンラインで完結するようになることでしょう、きっとね。
接続テスト用に100MBついてます
ちゃんと問題なく接続できるのかなぁ?
いざ現地に到着してつなげようとしたら上手く行かなくてオロオロするのはイヤだなぁ……。
万一どうしても接続できなければ、携帯電話会社の海外パケット定額サービスを利用するという逃げ道もありますから(もちろんその場合eSIMに投じた費用は無駄となってしまいますけれど……)、そこまで心配する必要はないのでしょうが、それでもやっぱり事前に接続確認しておけたら安心ですよね。
そんな要望を汲んでのことでしょうか、100MBがいわばウェルカムドリンク的に無料でついてきます。
(※ついてこないケースもある模様。要確認)
eSIMカード購入時の代金はあくまでeSIMそのものの値段(=初期投資)であって、実際に旅先などで利用するためには別途データプランを購入しなくてはなりません。
つまり、本来であればたとえ1秒でも接続したければお金を払ってチャージしなくてはならないところ、初めてeSIMを使うユーザーの不安を取り除けるようにと、試しに接続してみる用のデータ通信枠として100MBが最初から付与されているのです。
FLEXIROAMは日本国内でも利用可能なので(KDDIかSoftbankの通信網に接続するらしいです)、出発前に余裕を持って試験運転可能です。
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荷物にはなるものの、複数人で利用できるのはレンタルWi-Fiルーターの利点ですよね。
端末単位のSIMカードではそれができない。
でも、eSIMなら(少なくともFLEXIROAMのeSIMなら)複数人での利用が可能です!
しかも、ルーターの場合のように「ルーター本体を持っている人のそばから離れ過ぎると電波が届かなくなる」という制約もありません。
ドコモなどの携帯電話会社が月決めで提供している家族でシェアするタイプのデータプランと同じような感じ。
「フレキシシェア」というサービス名で、そのマークのついているプランについては500MBなら500MB、1GBなら1GBの購入枠を複数人で分けあえます。
もちろんシェアする相手にもFLEXIROAMのアカウント登録が必要となってはきますが、手間はそのくらいなもの。
便利で使い勝手のよいサービスといえるでしょう。
今回は私ひとりでの利用でしたが(同行者であった父はキャリアの海外パケット定額サービス利用でした)、次に家族旅行に行くような際には、きっと夫とシェアすると思います。
1カ国だけか、複数カ国か
FLEXIROAMのデータプランには、エリア限定のローカルプランと、FLEXIROAMが対応している国であればどこでも利用可能なグローバルプランとがあります。
要するに「1カ国だけを訪れるのか、複数カ国を周遊するのか」で使い分けるということになります。
ただし、ローカルプランについてはサービス提供エリアが限定されているため、非対応エリアへの旅行であれば否応なしにグローバルプランの一択に。
とはいっても、ラトビアとかキプロスとかモンゴルとか用のローカルプランまであるので、かなり幅広く対応しているといえそうです。
行き先がメジャーな観光地であれば問題なくローカルプランを利用可能でしょう。
プラン料金はエリアとデータ量によって異なってきますが、ローカルプランの場合はいずれも90日前の購入なら30%オフ、30日前なら15%オフとなるので、早めに用意しておくほどお得。
(※購入日=使用開始日となるグローバルプランではそういった早期割引の適用はありません)
各データプランの基準タイムゾーンで使用開始1時間前までならキャンセル可能(ウォレットに全額返金)ですので、旅程が確定した時点で購入しておくとよさそうです。
(※購入日=使用開始日となるグローバルプランでは返金されません。また、前述のフレキシシェアを利用してデータをシェアする場合は、使用開始前でも使用済みとみなされるためキャンセル不可です。)
【2023.5修正&追記】購入から3ヶ月以内の任意のタイミングでプランの指定データ量の消費を開始できる「フレキシスタート」のシステムがプラン種類を問わず適用されるようになったことに伴い、ローカルプランの早割は廃止となりました。
有効期限はカレンダーベース
各ローカルプランには有効期限があり、短いものでは3日間、長いものでは24日間となっています。(エリアにより異なる場合あり)
グローバルプランの場合は、ほぼ1年間のプランが最長。
なお、気をつけたいのがその日数のカウントのしかたです。
利用開始から24時間をもって1日とカウントするというのがよくあるシステムかと思うのですが、FLEXIROAMのeSIMでのカウントのしかたはカレンダーベースです。
各エリアのタイムゾーンの午前0時からその日の23:59までを1日とカウントします。
ですので、現地に23時に到着予定の場合、到着当日は1時間前後しか利用しないにもかかわらず、日付が変わった時点で有効期間中の1日分が消化されるということに。
24時間を1日として考えた日数ではなく、カレンダー上での滞在日数を基準にしてプランを選びましょう。
電波探すから、ちょっとだけ待って!
今回私が申し込んだのは8日間有効の500MBタイプでした。
そもそも毎月のデータ使用量が1GBに満たないような使い方をしている私なので、たとえ旅先であっても現地滞在実質4.5日間に500MBを使い切ることはまずないと考えられましたが、それでもまあ念のためにホテルにいる間はホテル提供のフリーWi-Fiに切り替えて使っていました。
そんな使い方をしていてちょっと気になったのは、ホテルのフリーWi-Fiへの切り替えは即座に反映されるものの、その逆の「フリーWi-FiからFLEXIROAM(=現地通信会社の電波)への切り替え」には少し時間がかかったこと。
電波を探すからですかね?
時間がかかるといっても1分とか2分とかその程度でしたが、とにかく即時ではありませんでした。(←私、せっかちなもので……)
これはFLEXIROAMだからどうこうという話ではなく、海外SIMカードは総じてそういうものなのかもしれませんが……。
(他のSIMカードを使ったことがないのでわかりません(汗)
ただ、ドコモの海外パケット定額サービスを利用したときには特にそういったタイムラグを感じなかったように思います)
ホテルを出たら早速通信したい(たとえばGrabで車を呼ぶとか)という場合には、部屋を出る直前にあらかじめ切り替えておくとスムーズかなと思いました。
対応しているのはiPhoneだけ →Androidにも対応
本記事執筆時点において、FLEXIROAMのeSIMが対応しているのはiPhoneだけです。
意外と見落とされがちかと思いますので、ご注意ください!
【2023.5修正&追記】iOSだけでなくAndroidにも対応するようになりました!
次回以降の海外旅行が楽しみ♪
今回eSIMを利用するに当たりかかった費用は、初期費用の1,265円(←キャッシュレス還元とかでいくらか割り引かれての価格)と、「インドネシア8日間500MB」のデータ利用料の5USドル(レートによりますが今回は552円となりました)で合計1,817円。
初回こそeSIM購入費がかかり、初期設定も必要でしたが、次回からは必要なときに必要な分だけチャージすればOK。(今回旅行と同条件なら必要となるのは5USドルのみということです)
携帯電話会社の海外パケット定額サービスと似たようなイメージですね。
【2023.5修正&追記】前述の通りe-SIM自体は無料となりました。
旅行に行くとなって毎回こまごまと対応するのがストレスな私にとって、これはかなり気が楽♪
同じように「あれも準備しなきゃ…… これも準備しておかなくちゃ…… あぁっ、もうっ!」と感じている人にはぜひおすすめしたいです。
2回目以降こそ活きてくるのがeSIMといえるでしょう。
家族旅行でシェアしてみたら、また追加レポートしたいと思います!